青空と鳩

ホーム >婦人科>よくいただくご質問(婦人科編)
 よくいただくご質問(婦人科編)
☆漢方医学と中医学とは何ですか。
「漢方医学」とは昔中国から伝わった医学を元に日本人が日本人向けにアレンジしてきた日本の伝統医学です。一方「中医学」は数千年以上に渡り進化し続ける中国の伝統医学です。
両者は根源は同じで、多くの共通した漢方薬を処方しますが、考え方は大きく異なるところが多々あります。それぞれの方法で導き出した処方薬はしばしば異なります。
現代医学で解決できない病気がまだ多くありますが、漢方医学さらには中医学を学ぶことで肉体的・精神的な診断と治療の可能性が大幅に向上することを私は実感してきました。
☆近ごろ疲れがとれず、栄養ドリンクやサプリメントをいろいろ試しても効果がわかりません。
栄養ドリンクやサプリメントばかりでなく、現代の医薬品でも疲労回復にはっきりした効果が期待できる内服薬はないといえます。
漢方でいう「気(き)」は治療の大切な柱のひとつです。「気」とは身体や精神を正常に維持するためのエネルギーを指します。身体が丈夫でも「気」が不足すれば元気が出ません。
漢方薬には不足した「気」を補って疲労回復に効く処方がいくつもあり、個々の体質に合わせた選択肢に事欠きません。
☆私と友人は同じ症状なのに違う漢方薬を処方されました。なぜですか。
漢方薬これを「同病異治」とよびます。長い歴史の中で、どのようなタイプ(証)の人にはどの漢方薬という法則がわかっています。証を確認するためには「症状」以外の多くの要素を読み取って漢方薬の選択に当たる必要があります。
なお、ここでいう「証」は漢方医学ではどちらかといえば各個人に固定されている印象がありますが、中医学的には刻々と流動しつづけるものととらえます。私はここは流動的あるいは相対的ととらえた方が実際の診療では合理的だと考えます。
☆漢方薬はどのような病状によく効きますか。
生理の各種トラブル:月経不順・月経痛・月経前症群PMSなどは、漢方薬の得意分野のひとつで、一時しのぎでない体質改善をめざせます。
生理関連のトラブル治療に関しては、漢方薬は使い方次第でピルと同等かそれ以上の効果がより安全に得られる場合がみられます。内服終了後も効果が持続する例もよくあります。
尿が近い・尿漏れする:この女性特有の症状に対する現代薬も各種試しましたが、経験上、漢方治療の方がはっきり効果がでます。
更年期障害:多彩な肉体的や精神的な不定愁訴の改善。
各種検査で異常はないが体調不良や気分の落ち込みが気になる:改善する事がよくあります。
不妊症:排卵誘発から流産予防、妊娠中から産褥期のトラブルをトータルサポート。
急性乳腺炎:炎症と乳汁うっ滞を同時に改善
妊娠中や授乳中の感冒:数千年前からの妊婦さんへの使用経験からくる安心感だけでなく、適切な処方は短期間に十分な治療効果が期待できます。
ニキビ:現代の治療法で改善しない場合、ニキビに実績のある漢方薬が何種類もあり、各個人の体質、すなわち「証(しょう)」を見極めることで選択します。
不眠:寝つきが悪い、眠りが浅い、夜間に何度も目が覚めるなど。漢方薬には、現代の睡眠導入剤と置き換えても十分な効果の得られるものがあります。依存性はまず生じず、症例に合わせて正しく使えば睡眠の質を改善します。
☆このクリニックでは漢方治療だけでホルモン剤治療などはしないのですか。
一般の婦人科クリニックで行う一通りの診療に加えて、漢方・中医学にもとづく診療も平行して行え、治療の選択肢が多いとお考えください。
例えば、次のような診療も常時、行っています。
一般的なホルモン剤による更年期障害治療、避妊用低容量ピル(アンジュ28・マーベロン28・トリキュラー28・シンフェーズT28)、治療用低容量ピル(ルナベル・ヤーズ)、モーニングアフターピル緊急避妊(レボノルゲストレル錠1.5mg「F」)、
生理をずらす(プラノバール)、避妊リング(FD-1:月経直後に装着開始)等。
「生理」を例にとれば、生理不順・月経前症候群(PMS)・鎮痛剤が効かない生理痛などに、ご希望によりピルでも漢方医学でも対応できます。
☆私の15才になる娘が生理痛やPMSで市販の鎮痛剤をよく飲んでいますが、身体に悪いのではと心配です。
鎮痛剤の説明書通りに内服して、生理痛やPMS(月経前症候群:生理前の極度のイライラ、頭痛、体調不良、落ち込み・・・)を乗り越えられれば、鎮痛剤も正しい対処法のひとつです。
多くの場合はそれらの症状がいずれ自然と落ち着く時期が来ます。
 もし市販の鎮痛剤を内服しても生理痛やPMSの緒症状が改善せず家庭生活や学校生活に支障がある場合はご相談ください。
数千年前から効果と安全性が確立されている漢方薬治療を「適切に」開始するとピルと同等の効果を短期間かつ安全に得られることが実証されています。
☆生理前にイライラしてこどもや家族に当たってしまい、その後気持ちが落ち込みます。
この時期のイライラやうつ状態は生理に向かってホルモンが切り替わる時期特有の現象、月経前症候群(PMS)で、大なり小なりほとんどの女性にみられる自然現象です。
また、この時期に腹痛や頭痛、めまいなどで悩まされる場合もあります。
家庭生活や社会生活上、お困りなら、漢方薬処方のみで短期間で十分改善できます。また、体質自体が変わっていくので、いずれ内服を減らしたり、中止も期待できます。
家庭生活や社会生活上、お困りなら、漢方薬処方のみで短期間で十分改善できます。また、体質自体が変わっていくので、内服を減らしたり、中止も期待できます。
このように、多くの漢方薬は正しく処方すれば肉体面はもとより精神面も安定させてくれます。また、通常は全く依存性が生じません。
☆2人目の妊娠を希望していますが、なかなか妊娠しません。
妊娠経験のあるご夫婦の場合、大掛かりな検査をしなくても、その方に合った漢方薬処方で妊娠するケースは珍しくありません。
漢方の一般的なイメージに反して速効し、最短、内服開始後1ヶ月で妊娠成立する症例も時々みられます。
基礎体温はつけなくてもかまいませんが、つけている場合は、すぐに基礎体温のグラフにメリハリがつき、排卵が明確になることを実感できるでしょう。
☆ひどい冷え性で冬の寒さも夏のクーラーも苦痛で気力も落ちて仕事が手につきません。
冷え性治療は漢方の独壇場で、すぐに効果を感じられるケースがほとんどです。
ひどい冷え性の場合は他の身体的精神的トラブルを抱えていることも多く、体質が改善しそれらもいっしょに軽快する場合がほとんどです。
☆下半身が冷えてたまらないのに、上半身、とくに顔はのぼせます。
いわゆる「ひえのぼせ」といわれる現象です。冷え性だけの方とは異なる漢方治療で、改善します。
☆雨や台風のたびに、いつもひどい頭痛や体調不良にみまわれ、家事や仕事が手につきません。
「気象病(きしょうびょう)」といわれる現象です。急速に進む低気圧に身体がついていけず、体質によっては身体各所の水の分布がアンバランスになり、一時的に脳がむくむなど身体の不調を招きます。
低気圧の時に鎮痛剤の効かない頭痛や節々の痛みなどの症状がひどい方は「利水剤(りすいざい)」とよばれる身体各所の水の分布のアンバランスを短時間(20~30分)で改善する漢方の利水剤の頓服で十分対処できます。
☆喉(のど)に何かが詰まった感じがしていて不快ですが、耳鼻科や外科の検査では喉(のど)等に何も異常を認めないとのことです。でも、とても気になります。
この症状で悩んでいる女性は実は多いのです。まずは耳鼻科や外科で喉(のど)を診てもらうのが原則です。
耳鼻科や外科で喉(のど)の異常を認めなければ、漢方で改善できます。
この症状のある方の多くは、その他の体調不良も抱えていますが、この症状の改善を目標に漢方治療をするとそれらも改善する傾向があります。
☆鉄欠乏性貧血を繰り返していますが、内科の先生に婦人科の診察も受けるように勧められました。
子宮筋腫や月経過多で慢性的に鉄欠乏性貧血になっている場合があります。月経や妊娠の関係で女性は男性に比べ20倍貧血になりやすいともいわれます。
☆毎年、健康診断で鉄欠乏性貧血の治療を強く勧められますが、鉄剤で吐き気がでるので飲めません。でも、鉄剤の注射で通院するのはイヤです。
吐き気などの副作用がきわめて出にくい小児用シロップ鉄剤(保険適応)があります。鉄剤の苦手な多数の方に処方しましたが、ほぼ全員が問題なく内服可能で造血効果も十分です。妊娠中でも飲めます。
貧血状態が続くと、心肥大などの身体的ダメージだけでなく、大なり小なり「うつ状態」になります。この気分の落ち込みはうつ病の薬では改善せず貧血治療で軽快する事が多いのです。
☆墨田区の「子宮頸がん無料検診」は20才から申し込めるそうですが、20才ではまだ早すぎませんか。
確かに多くの「がん」は中年以降に発生しやすい傾向があります。しかし、「子宮頸がん」は若い女性にも発生しやすく、実は20才代女性がかかる「がん」のトップとされます。
その上、近年、20才代・30才代の子宮頸がん急増が社会問題化しています。無症状で進行する子宮頸がんには若くても油断はできません。
とうきょう健康ステーション
☆生理以外にも性器出血を繰り返します。
不正性器出血ですが、原因は「ホルモン分泌の異常」あるいは「腫瘍等の発生」に大別されます。
ホルモンの乱れは漢方薬やホルモン剤で治療できますが、まずは子宮や腟内に癌などができていないかの子宮がん検査や超音波検査が最優先されます。
☆腟から何かカタマリが出入りします。
次のように良性だけでなく悪性の原因も考えられますので、早めに婦人科でその正体を確認しましょう。
子宮下垂・子宮脱:子宮を支える組織が弱くなり子宮が落ちてくる状態です。子宮が膣から出てくると下着にすれて出血したり歩きにくくなることもあります。
多くの場合、リングペッサリーというゴム状のリングを腟内に入れるとその場でおさまります(保険適応)。
リングペッサリーは3~6ヶ月ごとに交換が必要ですが、2回目以降の交換処置は簡単ですので、程度がひどく日常生活上お困りの時は試されるとよいでしょう。
膀胱下垂・直腸下垂:膀胱や直腸が落ちてくる状態です。子宮とともに落ちてくることもあります。リングペッサリーでおさまる場合もありますが、単純な子宮下垂・脱に比べやや難しくなります。
良性腫瘍 :子宮筋腫(筋腫分娩)、巨大ポリープ等。良性ですが、放置すると突然出血し始めることもあります。
悪性腫瘍:子宮頸がん等で早急に検査と治療が必要です。
☆外陰部が痛かゆく、白いおりものがあります。
外陰腟カンジダ症の可能性があります。カンジダはカビの一種で、大腸内には普通に存在し害はありませんが、正常な腟内にはほとんどいません。
健康な腟内は特有の乳酸菌で満たされ、他の多くの細菌やカビは腟内に侵入しにくい自衛システムが存在します。
カンジダ←(a)はソーセージのようなカンジダが複数連結してできた仮性菌糸、(b)はその胞子。(c)ははがれ落ちた膣粘膜細胞で分解され乳酸菌やカンジダの栄養源になります。
ビデや入浴時に腟や外陰部を洗いすぎると腟内の乳酸菌のバリアが崩壊し、かえって肛門付近のカンジダの侵入と繁殖を許すこともあります。
同様に抗生物質長期使用後、免疫機能が落ちる妊娠中や体力低下時、ピル内服時も発症しやすくなります。
通常はオリモノの顕微鏡検査でその場で診断し、腟座薬と塗り薬で治療します。
分娩時、産道内に多量のカンジダがいると新生児が皮膚炎を起こすことがあるため、妊婦さんは分娩までに治療しておきましょう。
なお、かゆみを感じず、帯下の異臭でカンジダが見つかることもあります。
☆閉経してしばらくたちますが、外陰部がヒリヒリと痛く、お湯がしみます。また、尿検査で膀胱炎でもないのに最近は頻尿が続きます。
原因として多いのは女性ホルモン欠乏がきっかけで起こる萎縮性腟炎や外陰炎です。炎症が尿道口にまで及ぶと刺激で常に尿意を感じ続け、膀胱炎と同じ症状ですが、抗生物質では治りません。マイルドなホルモン剤で2週間前後で治療できます。
☆膀胱炎は自然に治りますか。自分で治せますか。
頻尿、排尿痛で始まる膀胱炎ですが、男性に比べ膀胱と尿道口の距離が短い女性はよく発症します。菌が尿道口から膀胱に入りやすいためです。水分摂取が少なかったり、トイレを我慢しすぎるのも原因になります。
初期の膀胱炎は水分を沢山飲んで排尿を繰り返すと治る場合もありますが、1~2日改善しなかったり悪化するようなら、早めの受診をお勧めします。
膀胱炎の際に尿中に出現する白血球を検出できる検尿スティックを用い、その場で膀胱炎を診断、こじらす前なら抗生物質を内服と十分な水分摂取だけで通常は数日で治ります。
検尿スティック膀胱炎の菌が腎臓にまで逆流して腎盂腎炎にまで発展してしまうと、治療が難しくなります。とくに妊娠中は感染に弱いため膀胱炎やさらに腎盂腎炎にかかりやすいので、早めに治療を受けましょう。



設備紹介
(C)2014-2023K.Fukuoka
ページの先頭へ