コンピューターと漢方

  • 1982年に赴任した国立栃木病院でのボスは診療の傍ら、赤い花精力的に講演会やマスコミ等で漢方医学の啓蒙活動をしていた村田高明先生でした。初めての面談の際、村田先生は、こう語りました。「将来、医師が病院でコンピューターを使う時代がくる。カルテだってコンピューター化される。また、漢方も今は古い医療と認識されているが、将来、現代の医学と併用されるようになる。君は今すぐに、この二つの分野を勉強しはじめなさい。」
  • 20年も先輩の言葉に、コンピューターを前に現代医学と漢方医学を併用する未来の自分を想像してみましたが、当時としては、まったくSFの世界でした。
  • 長い年月が過ぎ、今度は南多摩病院の院長に就任した村田先生に迎えられました。数年後村田先生は別の病院に異動されましたが、長年村田先生の漢方外来に通院中の患者さんの一部は、ご希望で二つの病院を行き来し診療連携が続きました。
  • いま、電子カルテに向かい現代医療と漢方医療を行っているとき、本当に昔想像した未来の時代の中に自分はいる、あのとき学び始めていてよかったという感慨が頭をよぎります。現在、村田先生も複数の病院で漢方外来をおこなっています。